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荘内藩藩侯“致道館”に日本教育の在り様を見た

 7月1日、2日と山形荘内地方に出かけました。安岡正篤先生の高弟で鶴岡の松ヶ岡に東北振興研修所という研修道場を作られて地方人材の作興に努められた菅原兵治先生の教学の場所と荘内南洲会という道学同志を訪ねる為です。

 山形県には日本を代表する藩校が二つありました。荘内の致道館、米沢の興譲館です。前者は荘内酒井家13万8千石の藩校、後者は上杉鷹山で知られる米沢上杉家15万石の藩校です。致道館は今もその姿を留め、市民の勉学の処として利用されています。「致道」とは、『論語』の章句、「君子学んで以て其の道を致す」から取られており、江戸時代の儒学者荻生徂徠が教授した「徂徠学」に基づく四書があり、中でも『荘内論語』は藩学の中心とされていました。その精神は現代にも受け継がれ、小学校に入学した市内の児童には全員『親子でまなぶ荘内論語』という冊子が配布され、小学校6年間は毎週『荘内論語』の時間に『論語』教育が実施されています。この6歳から12歳までの幼少期に『論語』によって心を養うことは、子供たちにとって無形の財産となっていると思います。学校での教育に止まらず、致道館では毎月論語の勉強会が開催され、致道館の講義室に於いて正坐して講義を受けています。学校では実施できないこの日本人としての腰を立てる教育が元藩校で実施されていることは素晴らしいことです。

今日の教育課程において徳育を盛り込むことは難しいようです。それならば、市民活動として元藩校を全国で復活させ徳育を広めていくのが肝要かと思います。江戸時代、全国には300余藩があり各藩では藩学が実施され、将来の藩に必要な人材を養成していました。その理想の姿を今回、鶴岡の荘内致道館で見ました。今の日本に必要なのは、人生100年時代に完熟の人生を生きるために、幼少から自分に必要なものは自分で学ぶという覚悟をもって取り組むことです。当塾の使命は、それを正しく導くことにあると心得えます。姫路でも九月から令和の好古堂を復活させ、藩校時代の教育を実施すべく準備を進めています。

令和6年7月2日から7月7日の間に開催された定例講座は以下のとおりです。

▼安岡正篤先生全著作を読む 第35講『日本精神通義』(竹中栄二先生)

第3講は、「鎌倉時代に蘇る仏教精神」から読み始めました。平安時代に堕落した仏教界に一石を投じたのは、法然、親鸞の浄土思想でした。相次ぐ天変地異で困窮する庶民を救ったのは浄土門(阿弥陀如来の他力によって救われる)でした。しかし、義と白刃の間の生死に生きる武士達は「南無阿弥陀仏」の念仏を唱える浄土門では腹落ちしないことから、自力本願の聖道門に合致した新しい仏教が必要でした。その求めに応じるように我が国に伝来されたのが栄西、道元による禅仏教、更に、日蓮による法華経を中心とした日蓮宗でした。

▼新聞を10倍楽しく読める地政学 中級篇 (竹原俊三先生)

竹原地政学は、朝8時30分から開講される補講と10時から開講される本講の二本立てになっています。今回の補講では先月のG7会議、米国大統領選挙関係、東アジア情勢など最近の世界の動きについての解説を頂き、本講では、「日本の金融政策正常化への道筋」ということで「国債」の話題から、円安脱却への政策に関する解説を頂きました。