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この国を思う:国の乱れの回復は「孝の心」から。

 先日、日本のGDPがドイツに抜かれ世界4位に落ちたという報道がありました。この国の国威は著しく低下しています。国民を教え、導くのが使命の国会議員があの体たらくでは、何をどうしたらいいのか、本当にこの国を導く政治家はいないのかと嘆きたくなります。がしかし、我々、国民一人一人も日本国民として為すべきことを為さねば国勢が好転しないのです。今、この国の乱れをどう治したらいいのか。それは、「孝の心」の回復からが第一番に取り組むことです。

「孝」というと、皆さん「親孝行」を連想すると思います。親孝行とは、親の子孝行の末に、子が親に孝行するという人間の本能的な行動にほかなりません。この「孝」は、親孝行、子孝行に止まらず社会全体において浸透しているのが道義国家です。今の社会の乱れは、結局「家」にあります。家の中が安らかに整っており、家族全員が各自の「ハタラキ」を実行できれば、その家は円満です。日本人の家はそのように運営されてきたのです。我々の祖先が慣れ親しんだ古典に『孝経』という書物があります。世界三大聖人の一人孔子の弟子で、述聖と呼ばれた曽子が著した書です。その中に「親に事うるものは、上に居りて驕らず、下と為りて乱れず、醜に在りて争うわず」という言葉があります。人の上に立ったならば、驕り高ぶったりせずに、下にある時でも生活は乱れず、正しいことをコツコツ積み上げることの大切を説いています。即ち、親に仕える孝の如く、「敬」の心をもって目上の人、上司に仕える。人の上にあっては「慈」の心で接することです。「和を以て貴しと為す」を国是としてきた日本人の精神の源泉はここにあります。「身を修め、家を斉える」ことが、日本の再建の唯一絶対の道だと思います。

令和6年2月12日から18日の間に開催された定例講座は以下のとおりです。

▼安岡教学 『朝の論語』第二講 (三木英一先生)

ラジオ放送「暁の鐘」で論語を講じられる安岡正篤先生

 今回は第4講から第6講を学びました。第4講では、「小人閑居して不善を為す」から始まりました。日々の生活をのんべんだらりと生きる凡人はついつい暇な時間を持て余し、悪いことに手を出してしまいます。その後は、「利に放りて行えば怨多し」と、利と羲の関係について学び、資本主義の行く末が利己主義に行き着くことを再認識しました。