今こそ、郷土の偉人・先哲の掘り起こしを!
姫路出身で近代の陽明学者「岡田武彦」先生の秋月書院を訪問しました。岡田武彦先生は、明治41年(1908年)に白浜村字中村、現在の姫路市白浜町でお生まれになりました。旧制姫路高等学校から九州帝国大学法文学部支那哲学史学科に進まれ、中国哲学者としての生涯を全うされました。ご出身の白浜は「灘のけんか祭り」で有名な地域、毎年10月半ばに開かれるお祭りには、白浜にお越しになり、道友とともにお祭りを楽しまれました。ご帰郷の際には道友との酒宴が開かれ、私も何度か末席に加えて頂いたことを覚えています。
岡田先生は幼少時に、当時白浜村にあった観海講堂(姫路藩の儒者亀山運平姫路藩に致仕後、明治維新後は松原神社宮司が開いた私塾)でも学ばれました。姫路藩の酒井侯は学問に熱心なお殿様で藩内には好古堂という藩校があり、家老の河合寸翁は引退後、仁寿山黌や申義堂などの私塾を開いています。その仁寿山黌で学んだ亀山雲平が観海講堂を興し、そこで学ばれた岡田武彦先生が日本の陽明学の道統を継承されたのです。岡田先生は九州大学卒業後、九州を主たる活動拠点とされ、教壇に立ち、研究に勤しまれました。この度、訪問しましたには岡田先生の生涯が詰め込まれた秋月書院闢唯舎です。書院は二階建てで書院の中には講堂、展示室、書庫、宿泊施設が整えられています。残念ながら岡田武彦先生がご生前はこの書院に足を踏み入れられることはありませんでした。
この書院は、岡田先生の門人の青山氏により創建されましたが、3年前に青山氏がお亡くなりになり、書院を中心にした勉強会も途絶えてしまったようです。ここに集められた遺品、書籍を岡田先生の故郷である姫路において展示、公開し、陽明学者、王陽明研究家の遺徳を顕彰したく思っています。当塾でも、近い将来、安岡先生、伊與田先生の教学に加え、岡田武彦先生の顕彰コーナーを設けたく考えております。
令和6年4月15日から21日の間に開講されました定例講座は以下の通りです。
▼「安岡教学」『朝の論語』第4講(第10章から12章)(三木英一先生)
今回の第10講は「人と我」という演題でのお話でした。『論語』の子路篇にある有名な言葉「君子は和して同せず、小人は同して和せず」の文が登場し、人間の築き方を学びました。続いて、第11章では「正と羲」、第12章では「無道と有道」ということで、世の中における正義、社会秩序を保つ上での無道と有道について学びました。