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この国を建て直す!母の日に「孝行」を考えました。

今年最初の大型連休が終わりました。日本の国勢の低下が著しい中、レジャー、グルメだと現を抜かしているのが現代日本人の有様を憂いながら、久しぶりに滋賀県高島市を尋ねました。高島市安曇川村上小川には我が国の教育の祖として崇敬される中江藤樹先生の「藤樹書院」があります。大型連休中、観光地は多くの人で賑わっていましたが、「藤樹書院」の来場者芳名録には、一日にせいぜい数名の記載しかありませんでした。

中江藤樹先生は、家の庭にあった藤の樹にちなんで「藤樹先生」と呼ばれて地域の人々の教化に大きな影響を及ぼしました。27歳まで武士として出仕していましたが、郷里に独り残した母への孝養を尽くすために致仕し、亡くなる40歳までのたった13年間で、村人の教化のみならず、武士も学びに来るほどの私塾を運営しました。小川村にはいまでも、藤樹先生の徳風が漂い、日本人が忘れてはいけない心の安らぎを感じることができます。

「藤樹書院」は、藤樹先生が起居し、門人と共に学んだところです。今も地元のボランティアの方が交代で常駐され、来場者に藤樹先生のことを教えてくださいます。滋賀県内の小学生は在学中に一度は訪問し、郷土の偉人のことを学んでいます。江戸時代日本に260諸侯、300余藩がありました。各藩では藩学があり、武士のみならず庶民に至るまで、いい藩を作る為の努力をしました。藩校や寺子屋では、藤樹先生が講じられた『孝経』、『大学』、『論語』が教えられました。全ての人が人として正しく生きることについて学んだのです。このことが、明治維新後の近代日本の発展の礎となったことは皆さんも知るところです。私たちの住む街には、必ず崇敬すべき偉人先哲がいます。それを掘り起こし、顕彰することが郷土の学問、即ち、郷学です。来年は、日本全国で「郷学振興の大大会」が開催されることを祈念しています。

令和6年4月30日から5月12日の間に開講されました定例講座は以下の通りです。

▼「安岡正篤先生全著作を読む」第33講『日本精神通義』第1講(竹中栄二)

安岡正篤先生の著作を著作年の順に耽読するという目的で始まったこの講座も33回目、課題図書は7冊目に入りました。今回から安岡先生初期四部作の四冊目『日本精神通義』に入りました。出版された昭和11年は2・26事件が勃発するなど過激な日本国粋主義が跋扈する危険な時代でした。日本精神を論ずる書も多く出版された時代でしたが、学者が難解な学術用語を書き連ねたようなものが多く、真に日本人として心に刻むべき日本精神史というものがないことを憂えて、安岡先生が書き下ろされた一書です。第一回は「日本精神の源流 古神道」について学びました。

▼「伊與田覺先生のみ教えに学ぶ」『人の長たる者の人間学』第8講、第9講(三木英一先生)

 今回は「第8章 君子とは何か」から学びました。世の中には、大人と小人という二つのタイプの人間が存在します。それを判別する方法から始まりました。徳・義を具えた人を大人(たいじん)、才・利が先走った人を小人(しょうじん)と言います。これまで国大事を成した人の中でも、この二典型に分類することが出来るということです。

 第9章は「道理のままに生きる」という講話で、孔子が門人達の病死に直面した時の言行を学びました。