灘のけんか祭りと岡田武彦先生
10月に入って漸く、朝夕に涼しさが戻ってきました。播州に秋祭りの祭囃子が流れ、町中、村中が祭ブーム染まるこの時期になると、郷土の先哲「岡田武彦」先生のお顔が頭をよぎります。
岡田先生は、姫路市は白浜のご出身で、灘の喧嘩祭りの中心松原神社とも深い縁をお持ちの方です。晩年この時期になると九州から帰郷され、祭りと後進道友との酒席を楽しまれました。播磨三聖人の一人、亀山雲平先生も門下であった岡田先生のお父さんの影響で、支那哲学(特に、宋明代の儒学)の研究を志されました。多くの業績を残されましたが、特に王陽明の研究分野では世界的な権威でした。旧制姫路高校(現姫路西高校)を卒業後、九州大学に進学し、卒業後は旧制中学、陸軍幼年学校、新制高校などで教鞭を取られ、母校九州大学の楠本教授に乞われて研究室に戻られ、爾来、研究畑一筋の生涯でした。そんな岡田先生が晩年になって生涯学び得たものを集大成して『簡素の精神』を著されました。
「どの民族にもその民族をその民族たらしめる伝統精神がある。そして、その精神を見失った時、その民族は衰亡するであろう。これは歴史が示す真実である。日本人を日本人たらしめているものは何か、繁華、装飾的な文化を単純化し、それによって精神の内面性を緊張、高揚、深化させる、この豊穣な営みがそれだ。それを「簡素の精神」と呼ぶ。日本人よ、簡素の精神を失ってはいないか。」
今、日本及び日本人にとって一番大切なことは、「終わりを慎み、遠きを追う」ということです。一年に一度の秋祭りは、祖先、地域の先達の遺徳を顕彰する「先祖祀り」の時なのです。
今年から、毎年、郷土の先哲「岡田武彦先生」のご遺徳を顕彰する会、「自然忌」を10月の第三土曜日(今年は10月19日(土)午前9時30分から)を開催します。リモート参加も可能ですので、奮ってご参加ください。(詳細は別紙チラシをご参照ください)
令和6年9月30日から10月6日に開催された定例講座は以下のとおりです。
▼人物に学ぶ 人間力強化講座 埴岡真弓氏(世話役:竹原俊三氏)
今回は、播磨学研究所の埴岡真弓氏から「皿屋敷と姫路城下町」と題して基調講話を頂きました。埴岡先生は、家庭を切盛りしながら播磨の郷土史、特に、播磨地域の伝説、妖怪などを題材とした著作活動をされています。今回は播州でもっとも有名な「播州皿屋敷」のお話を伺いました。
▼地政学中級篇(竹原俊三先生)
今回のテーマは、「特定秘密保護法」でした。サイバーテロが横行する現代社会、情報管理に関する知識は、現代を生きる我々にとっては必須です。仕事の上で毎日膨大な情報に関与されるかたも、子供も、第一線を退いた方々も「情報」というものに如何に接するかを考えさせられた時間でした。
▼GHQ焚書を読む (世話役:竹中栄二氏)
今回のGHQ焚書は、『國體の本義』を中心に学びました。GHQによる日本解体の眼目は、如何に日本精神を瓦解させるかでした。それには、日本人の精神的支えである「國體観」を全否定することでした。そこで、「國體」、「皇國」という語の含まれる本を凡て焚書に指定し、日本人の目に届かないようにしたのです。その結果、大東亜戦争から79年経った今、多くの日本人は自分たちのDNA(遺伝子)に含まれている「國體観」を完全に喪失し、歴史も偉人をも省みないという亡国の民となってしまった訳です。