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第二回自然忌(岡田武彦先生の遺徳を顕彰する会)開催される!

 今年の灘のけんか祭は青天に恵まれ、勇壮な屋台の練り合わせがみられました。けんか祭りが大好きだった先師岡田武彦先生の歿後21年(御命日は10月17日)を祝う会を今年も令和人間塾の講義室で開催しました。当塾では昨年第一回の偲ぶ会を開き、それを皮切りに三木英一先生による「岡田武彦先生の著作に学ぶ」という定期講座を開講し、『簡素の精神』を一年間味読しています。

 さて、今回の第二回の自然忌は、岡田先生が生涯を賭けて取り組まれた「王陽明」の調査、研究の集大成本と言われる『王陽明紀行』の解説を当塾理事長の竹中が読み解きました。

姫路市白浜出身の岡田先生のお父さんは、播磨聖人と呼ばれた亀山雲平氏の門人の一人でした。岡田武彦先生は、旧制姫路高校(現在の姫路西高)から九州帝国大学に進み、生涯の師であり研究課題となる宋明の儒学の楠本正継研究室に入られ、楠本先生の『伝習録』講義によって研究者としての道が開かれたのでした。人物顕彰の基本はその人物の生誕の地と終焉の地を訪れ、その時、処に思いを馳せることであると先師伊與田覺先生から教えて頂きました。『王陽明紀行』は王陽明の生涯において、陽明の人生の岐路となった時と処を全て歩かれた岡田先生の旅行記です。終焉の地では、辞世の言葉を思い涕を流し、失意の内に人生の幕を閉じざるを得なかった王陽明の代弁者として、「建陽明王公碑」の祭文を書き上げられたのでした。王陽明が目指し、求めたものは不幸にも中国や韓国という儒教の本場では開花しませんでしたが、日本人だけが王陽明の思想を心底理解したのです。それが孔子、王陽明の理想とした経世済民と徳治政治を実現した日本という国を形造っていることがわかりました。

世界的な王陽明学者の岡田先生は「宋明の儒学」の研究を進めれば進めるほど、日本の「簡素の精神」の素晴らしさを実感すると言われています。

10月13日~10月20日の間に開催された定例講座は以下の通りです。

▼10月16日 安岡教学 『安岡正篤に学ぶ人物学』第5講 佐藤龍太郎氏(佐藤栄作元総理の長男)                (三木英一先生)

 安岡正篤先生というと「歴代宰相の指南役」というあだ名があります。戦後吉田茂内閣がスタートし、安岡先生の政治家への指導が始まります。「吉田学校」と呼ばれる吉田茂を中心とした政治家達は、次々を総理大臣に就任します。その中で池田勇人と並び大きな功績のあったのが佐藤栄作氏です。佐藤総理は沖縄返還交渉、非核三原則の提示で昭和49年にノーベル平和賞を受賞されました。その佐藤氏のご子息が、父佐藤栄作が師事した安岡正篤の交友に関して話をされたものが今回のテーマでした。