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この国を思う:賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ!

 また、暑い夏がやってきました。夏というと、まず8月15日の終戦記念日を思うわけですが、今年は何か節目の年を想起せずにおられません。起点を1945年(昭和20年)に置いて77年歴史を遡ると1868年(明治元年)、逆に77年進めると2022年(令和4年)となります。日本という国が誕生して2682年(皇紀)、長い歴史の中、最激動といえる154年の中に私たちは生きています。

 日本の歴史上、もっとも長かった江戸時代(1603年~1868年:265年)の後、新しい日本の国造りが始まった明治初めは、「富国強兵・殖産興業」が国民の合言葉でした。昭和20年、第二次世界大戦で焦土と化した時は、「日本再建・経済復興」が国民の目標でした。今、2020年から我々の先祖の前154年を振り返って見るとき、日本人と日本精神について考えさせられます。明治から大正、昭和と激動の戦争の時代、日本人一人一人が「日本及び日本人」として天皇を頂点として一国としてまとまっていました。しかし、先の大戦後は、連合軍の日本解体政策によって日本人から日本精神を削り、骨抜きにされ、家文化までも崩壊させてしまいました。今、私たちが当たり前のように享受している「豊かさ、便利さ、時短」は、日本精神の荒廃を益々加速化させています。毎日、テレビ、新聞で報道される目を覆いたくなるような事件・事象の大本は、人としての道(道徳)を失った結果です。これは疑うべくもなく戦後の学校教育で削除された「修身教育」の軽視が招いたものです。国語、歴史、道徳教育はその国の国民を正しく醸成する為の必要十分条件です。この国の真の姿を取り戻す為にも、一日でも早い教育の改善に取り組まねばなりません。

 大正から昭和にかけて、政財界のリーダーに多大な影響を及ぼされた安岡正篤先生はその著書や講演会の中で、絶えず時世を論じ、日本の現状を分析し、日本精神の再考について警鐘を鳴らして来られました。「繁栄の中の没落」は先生がよく口にされた言葉ですが、戦争のない安逸な生活の中に浸りきっている私たちが真剣に考えねばならない言葉です。

 この度の安倍元総理の事件を契機として、安倍元総理が目指された「美しい日本」(新生日本)再興のきっかけにしなければなりません。憲法改正は必至ですが、それより「日本及び日本人の真の自立(精神的自立)」をまず必要だと思います。私たちはこの日本という国がどんなに素晴らしく、尊い国であるかということを再認識し、再び、一人一人が品格をもった国民を目指すという志を新たにすべき時だと思うのです。

 暑い夏、熱射病とならないように、涼しいところで英気を養いながら、どうぞこの154年を振り返り、この国の行く末を今一度、真摯に考える機会にしていただきたいと思います。

良書を紹介:『この国を思う』安岡正篤著 (明徳出版社)