この国を思う:日本の子供を守ろう!(かかしの里体験会報告)
夏休みが始まりました。
青い空、青い海、子供たちの歓声・・・ コロナ禍で迎える3度目の夏ですが、子供を取り巻く、夏の風物詩の風景はどんどん様変わりしています。
私は子供の頃、和歌山の南紀白浜で過ごしました。私の夏休みの記憶はそこでの3年間に凝縮されています。ラジオ体操の前に起きてカブトムシを探して山の中に入ることから始まりました。草いきれを感じ、蝉の声を聴きながら、蜜を塗った木の場所の記憶を辿りつつ山の中を歩き周り、蜜に群がるカブトムシ、クワガタを発見した時の興奮、弟の嬉しそうな笑顔は今でも鮮明に私の瞼の裏に記憶されています。このように子供の頃の楽しかった感動の瞬間はその人の人生に大きな影響を与えると思います。
令和4年夏、昨年の当塾発足の時から一つの目標にしてきた小中学生対象の「尋常研修会」を再現、挙行しました。十分なPR活動が出来てなかったこともあり、また、直前にコロナ禍が再発したこともあり、参加者2名ということになりましたが、是非、日本の田舎での体験学習に参加させたいという親御さんの熱い思いから、当初の2泊3日の研修プログラムを1泊2日に変更し、家族参加で「かかしの里体験会」を開催しました。
姫路市安富町関集落は、姫路駅から1時間位かかる姫路北部のエリア(奥播磨)です。過疎の限界集落の究極の姿がここにあります。昨年6月、この村で生まれ育った岡上正人さんと出会ったことで私の思い描いていた尋常研修再開の構想が一気に膨らみました。(左:関集落、右:今回の体験会の施設)
ここ関集落は、岡上さんの孤軍奮闘で「かかしの里」と呼ばれるほどの村に成長してきました。昨年、久しぶりにこの村に足を踏み入れて感じたのは、「日本人の心の原風景、見つけた!」でした。
尋常研修は、私が師と仰ぐ伊與田覺先生が始められた研修会の一つで、昭和44年の夏休みに端を発します。小学校3年以上の学童を対象にして、学校では体験できない、「素読(孝経)」、「ハイキング」、「偉人の伝記の音読」、「浄写(書道)」、「野外活動」、「掃除」、「食事の準備片付け」などを寝食(宿泊)とともにしながら初めて会った人と一緒に体験することで、人間の基礎である「徳性」や「習慣」を身に付けさせようというものです。
今年は、二家族で対象児童名の参加でしたが、児童の妹、弟も含めると5人の子供たちが、このプログラムを体験しました。テレビも冷房もないところでの生活など想像できない現代人にとって、大自然の空気を吸って、村中を駆け巡り、虫と触れ合ったたった二日間の体験会でしたが、子供たちの記憶の一ページとして強く刻まれたことでしょう。不自由な生活の中にこそ、私たちの忘れている大事な何かがあるということを思い知らされた時間でした。
体験会の締めくくりは、東に一山超えた夢前町山之内の「香寺ハーブガーデン 且緩々」を訪れ、食育のみほんのようなお弁当を川の中に入って(川中料理)頂き、食後は楽しい水遊びを体験しました。
コロナ禍、クラブ活動のイベントで参加できなくなった参加予定者の皆さんにも来年こそは参加いただき、「日本の心」、「日本人の原風景」を実体験できる研修を実現していきたいと思っています。夏休み、冬休み、春休みにみんなが帰ってくる場所を「かかしの里」につくることが私の次の目標です。