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この国を思う : 偉人先哲に学びましょう!

 先週は、コンビニも、テレビも、エアコンもない奥播磨の山村に子供たちと共に自然と日本を学ぶ貴重な機会を得ました。都会の喧騒から逃れ、静かに大自然の中に身を委ねるといろいろな事が想起されます。参加した子供たちと夏休みの宿題の話をする内に、50年前の自分にタイムトリップしていました。夏休みの宿題で最も印象に残っているのが、「読書感想文」です。私は自分で言うのも何ですが本好きで、読書感想文は大好きな課題の一つでした。学校からの推薦図書を見るまでもなく、数冊の本が常に私の手元にはありました。そして、その中に必ず含まれていたのが、「偉人の伝記」でした。野口英世、西郷隆盛、ナポレオン、聖徳太子など、今でも脳裏に残っています。子供の頃に、偉人先哲の物語に接し、自分の理想の人物像を心に描くことは大変重要な事です。私たちが住む郷土には、必ず偉人が存在します。夏休みに地元の図書館を覗き、郷土史のコーナーに足を運んで子供さんと一緒に私たち大人も今一度、郷土の偉人先哲との出会いを楽しんでみてください。

 私の住む姫路にも多くの偉人先哲がいますが、この夏、岡山の友人から「第二回 熊澤蕃山展」の案内を頂きましたので、先日、備前市市民センターを訪ね、久しぶりに「蕃山先生」とお会いしてきました。

 熊澤蕃山先生は、江戸時代初期に活躍された経世家、平たく言えば、世の中を治めるに優れた手腕を持った人です。私の尊敬する師、安岡正篤先生が近代日本における二大経世家として重視されているのが、熊澤蕃山と山田方谷です。奇しくもお二人とも姫路の隣の岡山県に縁を持つ偉人先哲で、私もこれまでに何度もお二人を顕彰する旅を実施してきました。

 熊澤蕃山は、滋賀県近江八幡のご出身で、縁あって岡山藩池田家に仕えました。名君と謂われた池田光政公に見いだされ、経世家としての手腕を発揮されますが、彼に多大な影響を与えた師がいます。郷土の先輩で近江聖人と呼ばれた中江藤樹先生です。琵琶湖の対岸である高島市安曇川町に「藤樹書院」という中江藤樹先生が起居された住宅が現存します。人物に学んでいくと、その人物が何時、どのような人と出会ったのかを知ることができます。その人物がどんな人から影響を受け、偉業を達成するのに、如何なる人生経験を積んだのか、これが生きた人間学の学ぶというものです。

 私が最初に熊澤蕃山先生の人物顕彰を行ったのは、平成9年(1997年)でした。毎年9月15日に開催される成人教学研修所の先哲祭の鑚仰先哲に熊澤蕃山先生が祀られることになり、伊與田先生より人物発表の指名を受けたことで、時空を超えた旅がはじまった訳です。安岡先生が示される人物学の要諦に、「私淑する人物を持つこと」があります。人生には目標、ターゲットが必要です。その初めは自分の目指す人間像を求め、明確にすることです。

 夏休みは子供の特権ではありません。お盆休みなどを利用して、大人の私たちも日常を離れ自由な時間をもって、「伝記」や「名作文学」を読んでみてはいかがでしょうか。今の日本人に絶対的にかけているものは「本を読む」という習慣です。スマホ、タブレット端末は暫く横に置いて、夏休みこそ、書物や町歩きを通して、真の人物に出会って「生きた人物学」を体験していただきたいものです。

 読書は一生の友です。愛読書を持つと人生が至福の時間に代わります。