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この国を思う:先人先哲の教えに学ぶ

 25年来、毎年敬老の日は先哲祭の日というのが私の年間行事になっています。一年に一度、偉人先哲を顕彰し、その年の物故者(前年9月から今年9月まで)を有源招魂社にお祀りするというこのお祭りは、今はなき成人教学研修所の主要行事として開催されていました。研修所が閉鎖されてからは四条畷神社に有源招魂社を移して祭典と講演会が実施されています。

 平成8年9月15日の先哲祭で山鹿素行を鑚仰先哲として顕彰させて頂いたのが私の人物顕彰事始めとなり、以来、中江藤樹、熊澤蕃山、聖徳太子とこれまで4人の先哲を顕彰させて頂いております。今年は、台風接近を考慮し、四条畷神社での式典、講演会は中止となりましたが、敬老の日に先人先哲を顕彰するということは誠に意義深いことなのです。私たちが一年に一度、今の平穏な暮らしを送れていることは祖先を始めとする先人のお陰という素直な、謙虚な気持ちでこの日は全国民が先人に感謝するという日なのです。「祖国への愛と祖国への献身を尊ぶ国民精神=日本精神」を取り戻すには、国民の休日の意義、即ち、その休日の設置の由緒、由来を子供達に教え、大人になってからも敬老の日にはお年寄りを敬い、慰労すると共に、日本人として自分の立ち位置を再認識するようにしたいと思います。

 今年の敬老の日は、先週、お亡くなりになった英国エリザベス女王の国葬の日にも当たり、世界中の注目を集めています。

 70年の長きにわたって女王の座に在らせられたとは言え一国の君主の死を悼む人が全世界に居られること、また、ウエストミンスター寺院に安置された女王の棺に弔問の為に訪れる人の列が8キロにも及び、待ち時間24時間という報道を聞くと改めてエリザベス女王の遺徳の大きさを感じます。日本皇室と英国王室は格別のご親交があったということで天皇皇后両陛下も渡英され、国葬に参列されます。女王陛下のご冥福をお祈りしたいと思います。合掌。

 さて、敬老の日の一日前、9月18日に姫路木鶏クラブの創立35周年記念大会(式典・講演会・懇親会)が開催されました。

 当会の顧問でも在らせられます三木英一先生が、昭和63年に3人のお仲間と一緒に人間学誌『致知』を精読する勉強会を発会されて35年間、休むことなく続けて来られて、令和4年9月18に至りました。継続は力なりという言葉がありますが、35年間のべ410数回に参加された皆さんのご研鑽に心より敬意を表したいと思います。

 式典に続いての講演会では、三木先生と一緒に立ち上げに携われました堀隆一先生から「働き方改革の温故知新」という演題でご講話を伺いました。

 皆さんも既にお気づきのように、祖国日本が将に「繁栄の中の没落」状態にありますが、その実情を科学者らしく様々なデータをお示し頂き、説明して頂きました。同時に、日本の国の成り立ちから明治維新という世界史上でも類を見ない奇跡の発展を成し遂げる原動力となった上杉鷹山、石田梅岩、二宮尊徳の人物と思想を基に、日本人の勤勉性について高説を伺いました。日本が国威国勢を回復するには、今一度、明治維新の富国強兵、殖産興業を見直すこと、その中で、我々は一人一人が「仕事と人生」について再考し、日本人として祖国日本を大切にすることが第一歩であることがよくわかりました。敬老の日を前日に、今更ながら、偉人先哲を顕彰することの大切さについて考えさせて頂く絶好の機会となりました。

 講演会後に開催されました懇親会における参加者のスピーチを拝聴しながら、今後の姫路木鶏クラブの益々の発展を祈念すると共に、姫路木鶏クラブ、姫路師友会(来年、創立50周年)、令和人間塾・人間学lab(当会)が三位一体となって安岡・伊與田教学に基本とした日本再興の火種となるという決意を新たにした一日でありました。

最後に、堀隆一先生作成の「日本の勤勉・勤労思想の系譜」を添付させて頂き、この素晴らしい概略図を共有させて頂きます。