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この国を思う:日本人の為の幼少教育を如何に建て直すか

 この度、諸氏諸兄からのご要望により『実語教』(白石武之著)を再販することになりました。本書は、平成22年(2010)に関西師友協会から出版され、各地の勉強会で素読用テキストとして活用されてきました。過日、著者の白石先生にお会いし、『実語教』の誕生について先生の思いを伺うことができました。

 若くしてお亡くなりになった息子さんのことを思う時、今、この国に必要なのは人の生涯を貫く精神的支柱、こころの支えを幼少期に植え付けることではないかと思われ、それには江戸時代の寺子屋で字の読めない、本の買えない子供達に素読によって教えたものを復活させることだと気づかれたそうです。

 今回再販しました『実語教』は江戸時代に大阪にあった“浪華書肆”という版元から出版された『実語教具註抄』と底本とされています。空海(弘法大師)によってあらわされ爾来千年の長きに渡って子供たちによって読み継がれてきた、この教えによって今日の日本の繁栄があると言っても過言ではありません。

 それが現在の小学校教育では完全に崩れてしまっています。小学校を覗いてみますと子供たちはタブレット端末を片手に授業を受け、幼少期に最も必要な読み・書き・そろばんはないがしろにされています。

 読みの中でもっとも効果的で大切な教育方法が素読です。先生が読み上げた語を声に出して復唱する。少し大きくなったら素読テキストを自分で読んで音読する。更には、素読テキストを自分で浄書して携行する、というように活用の仕方は子供の成長に伴って工夫されてきました。今、この70頁ほどの小冊子を手に取ってみて、各家庭で、願わくば各学校でこれを一日一回素読する時間を持つことによって、十年、二十年後には道義国家日本を再興できると思います。

 現代人は須らく寧静の時間を持たねばなりません。マスコミに振り回され、情報の洪水の中を生き抜くには、生活を工夫して、心を修める時間(できれば坐禅のような)を一日一回持つことが必要なのです。心の平安の為には心を静めて『実語教』を素読するのが最も効果的ですと白石先生も断言されていました。

 「寸言人を活かす」と言います。万巻の書を読破するよりも、心の拠り所となる言葉、章句を心に確実に刻むことで人は、艱難辛苦を乗り越えることができるのです。当塾でも今後、各勉強会でこのテキストを大いに活用すると同時に、東京、大阪で起こり始めている「『実語教』を読む会」(仮称)の活動をより、多くの方々に広めて行きたいと思います。来年の春には、著者の白石武之先生を関西にお迎えし、白石先生の『実語教』の講話会を計画していますので、是非、ご参加ください。詳しくは、またホームページでご紹介申し上げます。 

*『実語教』の頒布のご案内

 『実語教 「日本人の心はこれで育った」』を販売しています。

 一冊 税込み 1,100 円(送料別) 

先週、11月14日から20日の間に開講された定例講座より、

11月18日:安岡教学『照心講座』第10講(三木英一先生)

 前回に引き続き、『照心講座』の「儒教と禅」の講義を頂きました。今回の講義では、本文中に掲載されておりますJ.L.Spaldingの「沈黙」という英詩の箇所で、安岡先生の英詩翻訳の素晴らしさを英語を専門とされる三木先生が絶賛され、全員で全文(英文、安岡先生訳文)で唱和しました。

 更に、最後には、安岡先生が母校の孔舎衙小学校の百周年記念会に参加されて講演された内容を三木先生が読み上げて解説されました。小学校での講話ということで、如何に小学校時代に人間として根っこ、躾と徳性を育むことが大切であるかを力説されています。