MENU

この国を思う:地域創成の鍵は、郷学振興にあり

 1月31日に、加古川商工会議所のお招きで、聖徳太子のお話をさせて頂きました。昨年、没後1400年の記念イベントが各所で催された聖徳太子。今、その教えが注目され始めています。聖徳太子と言えば奈良の斑鳩の里を想起しますが、聖徳太子と播磨のご縁というのは唯ならぬものがあるのです。

 聖徳太子は、用明天皇(推古天皇の兄)と穴穂部間人皇女の間にお生まれになりました。幼少期の養育に当ったのは三人の乳母でした。其の乳母達は高句麗からの渡海僧恵便法師の教えを受けた当時最も高い教養を備えた人たちでした。凡そ人間にとって最も大事なのは幼少年期の教えであると安岡先生は常々申されておりますが、当時として第一等の教育をもって聖徳太子は養育されたのです。その乳母達が教えきれなくなった後、十二歳にして、当時の印南、現在の加古川にある鶴林寺に居た恵便法師を尋ね、直接、教えを受けるようになったのです。恵便法師は儒教、道教、仏教に秀でて居り、聖徳太子はそれらを学び取り、その成果が22歳で推古天皇の摂政となり、32歳の時に冠位十二階の制定、 33歳で十七条憲法を制定されます。当時、有力豪族により専横されていたこの国の政治に天皇を中心とした中央集権国家の基礎を築き、対外的に倭国の存在をPRされた訳です。注目すべきはこの冠位十二階も十七条憲法もその根底に儒教の教えがあることです。恵便法師の元で学ばれた加古川の学びが聖徳太子の偉業の元であり、その全人格の形成の礎になったということです。恵便法師は播磨の地に多くの功績を残されています。増井山随願寺、法華山一乗寺など身近なところにあります。是非、一度歩いて、郷土の偉人先哲を尋ねてみてはいかがでしょう。「和を以て貴しと為す」の源ははりまにあったのです。

1月23日から2月5日までに開催されました定例講座は以下のとおりです。

2月1日 人物に学ぶ・人間学強化講座 (講師:青木 啓) (担当:竹原)

 青木氏の講話のテーマは、「今をよろこび 中今を生きる」でした。

 青木氏は正業の傍ら長年に亘って「古神道」を研究、修得して来られました。今回は、私たちの暮らしの中に生きている古神道の知恵について解説して頂き、「今をよろこび 中今を生きる」ということ、即ち、生かされているこの瞬間、瞬間を大事に生きることの重要性を教えていただきました。更に、日本人の究極の“おもてなしの心”について、叶匠寿庵、東京ディズニーランドの話を以て説明頂きました。

2月4日 安岡正篤先生全著作を読む 第19講 『東洋倫理概論』第二講

 安岡先生の6冊目の著書にあたる『東洋倫理概論』は、中々、読み切れない

と言われます。この講座は、一冊を数回に分け読んでいます。今回はその2回

眼です。早年の倫理の中で、前回の「師友に対する敬愛」に続いて、「英雄哲

人に対する私淑」、「恋愛」について学びました。私たちが豊かな人生を歩も

うとするならば、理想とする人物を定め、その人物に学ぶことが必要である

ことが諄諄と説かれています。

2月5日 新聞を10倍楽しく読める地政学 中級篇 (竹原俊三先生)

 今回の地政学中級篇は前回からの続きで、『キッシンジャー回想録(下)』を

講義頂きました。ペレストロイカによってソビエト連邦が解体され、アメリ

カのターゲットは中国に移りました。米中間の駆け引きの舞台裏で情報収集

と交渉にあたったキッシンジャーの東奔西走の活躍が伺えました。鄧小平、江沢民と変わる中国指導部に対し、斬り込んでいくアメリカ外交の真骨頂を垣間見た思いです。